をはる日記

感じたことを、感じたままに。

濁流のなかに

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今までは泳げていた。必死に。
けのびやバタフライやらの泳ぎ方を覚え、
とにかく速く、前に 泳ごうとしていた。
一生懸命にがむしゃらに、泳いでいた。
 
ところがふと、この流れの先が気になった。
この川はいったいどこにあるのだろう。
どこに向かって泳いでいるのだろう。
この水はなんだろう。
 
すると突然、わたしは泳ぎ方を忘れた。
当たり前だ。
そもそも何を泳いでるのかわからなくなったのだから、
どうやって泳げばいいかもわかるはずがない。
 
 
それでも、流れはとまらない。
他のみんなは今まで通り、なにかに向かって泳いでいく。
私が止まると流れが強く私の体にぶつかり、大きな水しぶきをたてる、
強く、かたくて、圧迫してくる。
私が止まると後からどんどん人がやってくるから邪魔になってしまう。
進まなければ。
 
 
それでも、私は前に進めない。
進まなきゃ、と思うけれども
もう泳ぎ方が分からない。
とりあえず避難しようか、と思っても
周りには木片も岸部も見当たらない。
 
流れは押し寄せる。
徐々にわたしの体を押し流してゆく。
呼吸が浅くなる。
 
 
 
ふと 目をあげると、
泳いでいない人がいることにも気が付く。
錨をつかってとまっているひと
泳ぐのをやめて歩いているひと
ひとをやめて鳥になったひと
 
ふと 目をもどすと、
泳いでいる人に気が付く。
必死に泳いでいるひと
泳ぎつかれた目をしているひと
泳ぐのが楽しくて仕方がないひと
 
 
この流れの先はどこだ。
上がればいいのか泳げばいいのか。
先は見えない。泳ぎ方もわからない。
 
 
今は呼吸を保つのに精いっぱい。
そんな をはるです。